リハビリ編① 定位脳手術から1ヶ月
私のフォーカルジストニアの症状であった、
左手小指薬指の屈曲、硬直、痙攣は、
手術後すぐなくなりました。
下記のインスタの動画で、術前術後の指の様子を比較しています。
https://www.instagram.com/p/Bvlln-tBx-5/
ただ.後遺症というか合併症というやつで、
左半身の不自由さがかなりありました。
*歩く時左足を引きずる
*左側の距離感が分かりづらく、
よく壁にぶつかったり足を打つ。
*物を持つ時も左手で持つと落としてしまう。
*よく左側によろめいて最悪転ぶ
そんな状態なので、もちろんほとんどギターは弾けない状態です。
*手に力は入らなく、コードが抑えきれない
*全く指が自由に動かず、瞬発力はゼロに。
*まだジストニアの癖が残っていて、少し小指が曲がる
*アドリブでも、頭で鳴っている音を全く演奏で聞かせることができない
とりあえず指を動かすリハビリをしなければなりませんでした。
指が回らないので、まずは遅いテンポ、
♩=70でワンツースリーフォー、ワンツースリーフォーと、ゆっくりクロマチックの運指練習を行いました。
(管楽器やピアノの方にとっては、ドレミファソラシとCのメジャースケールを弾く運指練習のような、基礎中の基礎の練習方法です。)
その過程で一番慎重に行ったことは、
フォームの改善でした。
脱力した、身体に負担をかけない指の動かし方を人一倍研究する必要がありました。
入院中での記事でも紹介しましたが、
YouTubeで人気の、ハートフルギター教室黒河内先生の動画を見て、
おそらく最もジストニア患者に大切な運指方法を学びました。
それがMP関節(第三関節)を主体として指を動かす
運指方法。
これは恐らくピアノ奏者の方にも通ずるところがあるのではと思います。
線で囲った部分がMP関節です。
それを意識的に稼働させることによって、効率的かつ力の抜けた運指が可能になります。
これを意識すると、一見バタついた運指に見えるのですが、
そもそも運指をバタつかせてはいけないという昔からある指導方法は、
いろんな観点でどうなんだろうと思っています。
詳しくはYouTubeのジストニアについての動画でしゃべっていますので、よろしければご覧ください。
https://m.youtube.com/watch?v=SaMcCWfvnlI
このMP関節を動かさず、
指先に近い関節を動かして運指をすると、
まず手首の硬直、そしてそれは肘、肩と連動して
体全体の力みに繋がることがリハビリで分かりました。
実際私は小指第二関節の使いすぎでフォーカルジストニアになっています。
(小指の強化のつもりで小指を使った高速ハンマリグとプリングの繰り返し、いわゆるトリルを2時間くらい連続で行なったりしました。)
そして、もう一つ大切な点が、
MP関節の可動さえ意識すれば、
左手親指の位置はどこでもいいということ。
これはギタリストの中でよく語られる話なのですが、
「運指をする際の親指の位置はどこであるべきか」、というもの。
親指というのは運指で1番大切と言われたりしますし、
わたしも確かにそう思います。
ただ、どんな音楽を弾くか、どんな奏法をするか、あとは手の形大きさで親指の使い方は変わってくるので、
全部一緒くたにして、これが正解だからこれをやるべき!というのはないなと思います。
おおまかに、
親指でネックを握り込んで弾くという人と、
親指はネックの後ろに添えるだけ、という人という人がいます。
前者はブルースやロック系のギタリストに多いです。(あくまでも傾向です)
スティーヴィーレイヴォーン、エリッククラプントン、イングウェイマルムスティーンなど。
日本ではcharさんや山岸潤史さんがそうですね。
後者はジャズやフュージョンテクニカル系のギタリストに多いです。(しつこいですが、あくまで傾向です)
ジュリアンレイジ、ティムミラー、マイクモレノ等。
日本人だと小沼ようすけさん、宇田大史さんが挙げられます。
これは、本当にどちらでもいいものだとわかりました。
MP関節の可動を意識すると、指の短い人や握力のない人は自然と親指はネックの後ろに添える形になります。
逆に指の長い人は、自然とネックから親指が頭を出して握るような形になります。
フレージングによっても変わったりしますし、
運指においては世界的に圧倒的な存在である、
巨匠アランホールズワースは、両方のタイプを駆使して演奏を行っていることにも気づきました。
私の場合は、
ティムミラーというギタリストの運指をよく観察してフォーム改善に取り組みました。
彼は、一見すると固いフォームに見えるのですが、
MP関節をしっかり動かして、他の関節の動きはほとんどなく、力まず、かつ超効率的に運指を行なっています。
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これは私の勝手な推測ですが、
彼は、ギターのストラップの位置、
弾くときにギターが自分の体のどの位置に来るかということもとても繊細に気を配っていると思います。
なので、立っても座っても体の芯がまっすぐで、
そこから伸びる肩や肘もふにゃっと脱力しており、
それでいて指の動きは先述した通り非の打ち所がない効率的なものです。
そのため、私もストラップの調整、
体とギターの場所のバランスを徹底して試し、
一番脱力して弾ける姿勢を探しました。
姿勢に関しては、ジャズギタリスト八幡謙介さんの「ギタリスト身体論」という本を読み、自分の演奏に取り入れました。
ティムミラーの運指を研究したのは、
彼の手の形と自分の手の形が似ているなと思ったのも理由の一つでした。
このように、自分に似た体、手を持っている真似すべきミュージャンを見つけ、その人の姿勢やフォームを研究して、
とにかくMP関節可動を主体とした運指を心がけ
それを手に染み込ませる。
手術後1ヶ月はそういった練習、リハビリを行いました。
あとは身体のしくみについて調べ、脱力の方法をとにかく探りました。
例えば、立って弾くときの肩の脱力。
肩の脱力というのは、肩の力を抜こうとするだけではダメで、膝を柔らかく力を抜かなければいけません。
そういうような情報を色々調べ、より良い運指ができるようになるための下準備をした1ヶ月でした。
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。